東京にて

出演中の舞台『野田地図』の『ザ・キャラクター』も昨日で25ステージを数える。全57ステージ、いよいよ半分である。今回はアンサンブルパートでの出演で、台詞はほとんどない。台詞はないが、想いはある。舞台に立つ以上、自分に許されたありとあらゆる表現手段を使って、観客席に侵食していくより他、ない。誰よりも強く、誰よりも深く。一番手軽な伝達手段、『言葉』が使えない時、俳優はそれ以外の能力にどこまで敏感になれるだろう。自分がつかんだこの役の持つ渦巻く感情を、言葉なしにどこまで舞台にのっけることが出来るだろう。あますとこなく全てを。自分の役に言葉があること、その言葉に対する気持ちが、心構えが変わる。言葉を持たないことで、その『言葉』を支える『想い』の存在をより強烈に感じることが出来た。今の自分は『想い』を『言葉』として吐き出す出口を持たない肉体という袋。言葉とどのように付き合い操り放っていくか…。