猫の家族

NODA・MAP「逆鱗」漬けの毎日で年末も新年もなく、
気付いたらこんなに日々が過ぎてしまっていました。
どれだけきつくて大変なことがあってもやっぱり芝居は面白く、
初日を迎えお客様と出会える日々は怖くもあり、
でも何より楽しみな日でもあります。
役者の日々は刺激的だけれども、
映画への気持ちも大きくなっていきます。
隣の家の屋根、そしてうちの家の塀の上で、
猫の家族が毎日ほぼ同じルーティーンで、
呼び合って、寝て、爪とぎして、を繰り返しています。
今だいたい何時かが分かるくらいの正確さで。
そういう感覚ですべてをやっていく。
よかったところは逃さないように、
ミスしたところは繰り返さないように、
こういう映画が面白いんじゃないかという思いは心に刻んで、
でもいつも自由に入れ替えたり組み替えたりしながら、
だんだん本質に迫っていく。
「こうなりたい」とか「ああなりたい」とか「こう見られたい」とか。
そういう面倒で不必要なものは一切省いて、
日々淡々と猫の家族のように、
その日、必要なことをやり続けること。
心にとめておくこと。
今、生きているんだからそれ以上に思い煩うことは一切ない。
疲労を重ねた身体は、不要なことを考えないから好き。
どこまで行けるか、分からないとしても。