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出演情報

最新の出演情報などは以下のweb、Twitterにてご確認下さい。


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Twitterhttps://twitter.com/renonremon

2017年1月31日火曜日

その時どうするのか

シアターコモンズのワークショップ、映画監督である藤井光さんの『日本人を演じる』に参加しました。正直、体験が強烈すぎて、終わった直後はとにかく心を落ち着かせる必要があり、誰とも話せなくなってしまいました。すぐにこのワークショップについて語るにはあまりにも気持ちが乱れてしまっていたので。ワークショップと言えば、『明るく、楽しく、ためになる』という平和ボケした考えを蹴り飛ばされました。
何をやったかは想像にお任せするとして、とにかく感じたことは、『あまりにも疎外されてしまうと、人はその疎外に対して無感覚・無感情になり、その疎外感をなんとかするために行動を起こすことよりも、とにかくその時間が過ぎ去ってくれるのを非常に消極的な姿勢で待ち続けてしまう』ということでした。
そうならざるを得ない大きな仕掛けがひとつあり(おそらく用意されているであろう、仕込みやサクラも含めて)、そこに『まわりに迷惑がかかってしまう』という日本人的な真面目さが加わってしまうと、もう本当にどうしようもないのです。これを国家的に大きな仕掛けでやれば、ナチスドイツがやったようなことも可能になると思います。現代の自分たちが見れば『なんでそんなことが出来るの?』ってことも、その民族性を把握して利用しつつ、うまく仕掛けを作って誘導してやれば、個々の意思はどうであれ、そう持っていくことは可能なのだということをこのワークショップで感じました。
感想で『むかつきました』とストレートに気持ちを発することが出来ている人もいて、羨ましいと思ったけれど、自分は何も言いませんでした。自分も映画を撮るので、藤井さんの考えが分かりすぎて、それ以上、利用されるのはごめんだったからです。『いい画さえ撮れるならば、どうなったっていい』って感覚も、分かるからです。今回の藤井さんほど前面には押し出しませんが、そういう気持ちも絶対にどこかに持ちながら、いつも映画を撮っているからです。途中で会場から出ることも出来たけれど、そう出来なかった。集団意識をうまく利用されていたからです。そこが悔しい。『日本人を演じる』どころか、結局ただの『日本人』でした。
現実でもこういうことは起こりうることなので、この経験を通して、『その時どうするのか』ということは、常に考え続けていかなくてはいけません。擬似的に(実際にだけど)『迫害』を経験することの出来た、クソったれな、素晴らしいワークショップでした。

※与えられる役割によって経験と感想は全然違うものになると思います。


早く、美しく、そしてリズミカルであれ!

ギューちゃんこと篠原有司男さんのインタヴュー集。
言ってることはめちゃくちゃだけど、核心を突いてます。
岡本太郎の思想を一番忠実に実践して生きている人。
読むだけでも強烈だけれど、読んで安心してるだけじゃダメで、実践しないと。
つくづく、人生とはひとつの賭けなんだと思う。
一番大きな遊び事で、ペンを使わずに書く物語。
そこからたまにぽろんとこぼれるモノが、作品と呼ばれるモノになる。

それで、大事なことはね、売れちゃダメよ。
絶対に売れちゃダメ。
それが俺の哲学だね。
七十四歳で言うけど、売れちゃダメ!
安心感が身体をダメにするよ。
篠原有司男

ありがたいことにその辺は大丈夫そうです、ギューちゃん!



2017年1月25日水曜日

『ノイズの海』レビュー

ヤサぐれ舞踊評論家、乗越たかおさんより昨年12月に出演したダンス公演『ノイズの海』のレビューを書いていただきました。再演の機会あれば、またみんなでより深いところ目指して踊っていきたいです。
どうもありがとうございました。
レビュー評 文・乗越たかお あうるすぽっとプロデュース『ノイズの海 ...

2017年1月24日火曜日

青空の下で十分だ。

先日、とあるオーディションに参加した。
オーディションまで3日程しかないにもかかわらず、結構な長台詞を含む二役分の課題が送られてきた。「あきらめようかな?」とちょっと弱気になったが、思い直してがんばった。がんばったのだけれど、台詞があまりに美しく、「がんばった」ではなく、美味しい料理をかきこむように時間をつぎこんだ結果になった。簡単な内容ではない、どちらかと言えば難解なものだ。だけど分かる。分かりやすいのだ。そして美しい。美しいのに、癖があり、役者が演じるべき課題もたくさん含んでいる。こんな台詞にはなかなかお目にかかれない。正直なところ、役者の作業として「台詞覚え」は最も時間のかかる苦痛が伴う作業だ。「台詞を覚える」体力と気力を失ってやめていく俳優もかなりいるのではないかと思うくらい。そんな時、こういう戯曲に出会うと本当に感謝の気持ちでいっぱいになる。

オーディションも素晴らしかった。
フリーの自分は受けているオーディションの数もトップレベルだと思っているのだけれど、その自分が見たことのない俳優ばかりで、しかも力がある。課題の台詞の良さもあって、見応えのあるオーディションだった。最終まで一緒に残った俳優と帰りの道すがら、「どうせやるならこういう芝居に出たいっすよねえ」と話しながら帰る。その俳優とも台詞の良さについて盛り上がった。また現場で再会できることを願う。しかし、あの台詞は誰が書いたのだろうか。オリジナルであそこまで丁寧に台詞を書ける人がいるとは。しかもあのテーマで。詳しく聞くことは出来なかったけれど、本当に気になる。シェイクスピアの時代から、舞台における第一の要素は台詞の美しさである。台詞がしっかりしていて、それを具現化できる俳優がいれば、あとは何もいらないのだ。演じる場所は青空の下で十分だ。





2017年1月23日月曜日

わたしたちの家

出演した清原惟監督の映画『わたしたちの家』が東京藝術大学大学院映像研究科 映画専攻第11期生修了制作展にて上映されます。
◆2017年1月28日(土) 29日(日)
横浜会場:東京藝術大学横浜校地馬車道校舎
◉2017年3月4日(土)〜10日(金)
渋谷会場:渋谷ユーロスペース
料金など詳しくはホームページにてご確認下さい。
黒沢清監督、諏訪敦彦監督のコメントも素晴らしいです。

東京藝術大学大学院映像研究科 映画専攻第11期生修了制作展 みんなで映画のつ…
GEIDAI-FILM.JP

2017年1月21日土曜日

IN&OUT,あるいは飲&嘔吐

銀座のggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)にて
中條正義さんの『IN&OUT,あるいは飲&嘔吐』を観ました。
地下の雑誌を並べたスペースがよかったです。
開かれたページの中には確かにその時代の空気があって、
いい時代というのは確かにあるんだなあと感じました。
その時は気付かなくても。
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2017年1月18日水曜日

振り子の原理


右へいって、左へいく。
右へいって、左へいく。
右へいって、左へいく。
だんだんゆれが小さくなって。
まんなかでとまる。

振り子の原理。

ゆれはじめる前と、
何も変わってないようだけど、
確かに何かが、
変わっているような。

振り子の原理。

後悔や、
不安で、
眠れない夜もあったけれど、
ようやくここにたどりつけた。
またどちらかにゆれはじめるとしても、
今はここにたどりつけた。

神様、ありがとう。



2017年1月16日月曜日

林芙美子記念館

落合の林芙美子記念館へ。林芙美子さんは同郷の作家。ここは昨年末に北九州の門司港で足を運んだ林芙美子記念室で紹介されていて興味を持った場所。林芙美子さん自身がこだわりを持って考えた素晴らしい庭とお家。昔の家なのに現代にも通じる機能性を持ったこだわりの建築でした。この辺りは一の坂から八の坂まで八つの坂が並んでいるとても風情のある場所で、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。記念館のある四の坂下の気になるカフェに入るとそこのママと意気投合。林芙美子さんの親戚の話から落合の町の裏話までたっぷり1時間以上お話を聞かせていただきました。この辺りにはタヌキやハクビシンがよく出てくるんだとか。春の桜と秋の紅葉を楽しみに、また足を運ばせていただきます。
そこから歩いて中野へ。中野ブロードウェイの落語と幻想文学専門の古書店にて大好きな劇作家、サム・シェパードの戯曲集を2冊購入。昔、自分の劇団で上演した『埋められた子供』の大好きなヴィンスの最後の台詞に涙。素晴らしい台詞です。また演じたい芝居のひとつです。

2017年1月12日木曜日

とてもいい天気!

いい天気が続き、非常に気分がよいです。
今月はいくつかの映画の編集と手直しと字幕作業です。新しく配信される予定の映画に改めて手を入れました。

完成している映画に手を入れるのは本当に勇気が要りましたが、やってみるとまだやり残していたことがたくさんあって、技術的なクオリティを上げる余地が本当にたくさんあったことを発見できました。
昨年末の上映会でのお客さんの反応と感想がすごく手直しの手助けになりました。
みなさんの元に再び届けられる機会がもうすぐ来ますので、その時はぜひ観ていただいて、感想をいただけたらと思います。

どうなるか分からなくて眠れない夜もありますが、次の日にもう一度画面を見ていると必ずどこかに突破口が見つかります。もうだめだと思った時がチャンスで、そこが脱皮の合図、だと信じて画面に向かいます。役者のときは、いつも人と一緒で、体を動かし、声を出してつくっていきます。でも編集のときは常に一人。動かず、声も出さず、一人で画面の前に座っているだけです。すごいギャップです。でも1日30時間やっても苦じゃありません。いつかこれが世に出るのだ、誰かの目に触れて、誰かの心を動かすのだ、という気持ちだけでワクワクします。

爆弾、というと物騒なので、花火、をつくっているような感じです。
夜空で爆発したとき、100パーセント思った通りの角度で爆発させられるわけではないけれど、見る人がそれぞれの場所からそれぞれの角度で受け取ってくれる。わー、とか、へー、とか言ってくれる、それだけが楽しみです。

新作も出来てきています。
去年の自分がすべて入っています。
可愛くて、悲しくて、激しくて、優しくて、気まぐれで、支離滅裂で、意味不明です。
世界を描けたと思います。

みなさんの元にきちんと届けられますよう、あと10回くらい脱皮します。美しい蝶か、毒々しい蛾か、そのどちらもがいいな。美しい蛾、毒々しい蝶。楽しみにしていて下さい。

とてもいい天気!

2017年1月5日木曜日

熊本へ

熊本へ。阿蘇ではテレビでしか見てなかった震災の被害を間近で見たり、市内でも崩れた建物やお墓がすべて倒れてしまったままのお寺など、年が明けてもまだ終わっていないのだなということをひしひしと感じました。けれども被害に負けず、いいお店を地道に続けている人たちもたくさんいて、明るい気分にもなりました。河原町のせんい問屋街に久しぶりに行くと、いつもの入口がなくなってしまっていてびっくり。聞けば昨年の3月に火事で半分焼けてしまったそう。そして震災。けれども良く行く雑貨屋のモラトリアムさんは元気に営業しておりました。店休日だったのに店に入れていただき、ありがとうございました。それから移転した『CAFE&ZAKKA ORANGE 橙書店』さんへ。こちらもあの雰囲気は変わらず。大好きなアジサカコウジさんの絵も飾ってありました。熊本にはポアンカレ書店さんや古書汽水社さんなどおしゃれで個性的な古本屋の名店も多く古本屋めぐりもおすすめです。温泉に美味しいもの、景色や人、熊本にはいつも元気をもらっています。

2017年1月1日日曜日

錆びついた街

北九州には関門海峡の荒い潮風がいつも吹きすさんでいて、建物ばかりでなく、人の心の中までも錆びつかせていくようだ。

帰ってすぐ、同郷の役者である有門さんと飲む。小倉駅のビール一杯100円の誰も焼肉を食べていない焼肉屋で。お互い役者も長いので、今さら「がんばろうね」なんて励まし合う仲ではない。もし「辞める」という決断を選んだとしても、それでいいんじゃないってお互い言えると思う。同じ思いを共有できる人って一人いれば充分だよ。「居てくれて、ありがとう」。ますます自分の信じる芸術の世界からかけ離れていくこの日本の状況だけど、一人になってもやるつもりでいるから、逆にまだたくさん信じられる人たちが残ってることが奇跡で、「神様、ありがとう」。

昨日は門司港にある門司出身の作家、林芙美子さんの記念室へ。なんと偶然昨日は林芙美子さんの戸籍上の誕生日。極度の近眼のため、机に顔を擦りつけそうなほど近付け、あまりの筆圧に机が動いてしまうのをふせぐため、重たい机にかえたそう。作品づくりに対する狂おしいまでの姿勢に強い共感を覚える。

私は心を噴きあげるような
いい作品を書きたい。
指を食い、腕を食いながら、
私は此次のものへかかってゆく。
林芙美子

父と紅白歌合戦。
見ながら悲しい気分になる。
昔の紅白も退屈だった。
退屈だったけどいい歌うたいが出てた。
眠気を我慢しながら見るのが紅白だった。
でもどの歌手も媚びてなかった。
歌うたいのプライドを持って立ってた。
歌も立ち姿も美しかった。
毅然としてた。
子供には分からないけどね。
今はみんな子供向け。
大人も子供もみんな子供。
誰が誰に向けて何のためにつくって(うたって)いるんだろう?
ニコニコしたふにゃふにゃな人たち。

毅然として立つ。
状況は関係なく。
まっすぐ。