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2019年2月28日木曜日

逆撫でる

今日は雨。

出かける予定を減らして家で書き物などをゆっくりやる。書くという作業はとても楽しい。空想がどんどん広がっていく。回収のことは今はまだ考えない。ひとつでもシーンを多く進めて最後まで辿り着くことが先決なのだ。書きながら批評や判断を下してしまうと確実に筆は止まる。未熟であることは百も承知なのである。

でもまだこれは誰にも見せない自分だけの世界なのだ。自分だけの世界で自分だけで遊ぶのだから、誰にも迷惑はかけていない。特に映画の脚本は自分の中でカメラが回っていて、そこに映っている映像を追いかけながら書いていくから、もうこれは映画を撮っているのと同じことだ。とても楽しい一人遊びの時間だ。

興行収益なんて関係ない。

また人の感情を逆撫ですることになるかも知れない。でもやりたくて見たいものがそうなるのだからもうやるしか仕方がない。初めから自分のやりたいことがおしゃれでかわいかったりかっこよかったりしたら、その自分のやりたいことをやることには何の葛藤もないのかも知れない。けれど以前、自分が本当に面白くて、自分の中では最高のエンターテインメントだと思って上映した映画で、お客さんが激怒したり涙ながらに抗議された経験があるので、自分の感覚はどこにあるのかまったく分からなくなって迷子になった経験がある。怒らせよう、挑発しようと思って作った映画ならまだしも、優しい気持ちでユーモアをたっぷりきかせた(つもりの)映画だったからだ。あの時の戸惑いと悲しい気持ちととてつもない不安な感覚は一生忘れない。だから今は何も怖くない。たとえ悪意を持って作ってもあれ以上の状況には決してならないだろうと思うから。

自分は恐らく大きくずれている。ことがある。

かなり範疇を越えている。ことがある。
そして自分でそれを自覚できない。ことがある。

前はそれでずいぶん悩んだけれど、今は違う。それが自分だと理解したから。だから作る。一人になっても作る。いやむしろ一人で作る。俳優をやるときは不思議と自分は自分の位置が分かる(気がする)
。バランス感覚を持てる。悪意と善意を織り混ぜて、どんな脚本であってもお客さんにとって一番いい着地点を探して一緒に歩いていける。まだ踏み外すことはあるけれど。

映画監督としてはそれが出来ない。
でも、出来なくていいのかも。

きっとそれが唯一の武器になる。
好きなものと面白いと感じる感覚にはいつも正直であること。

さあ、続きを書きますか。

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