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2019年12月24日火曜日

どこを見ているの?

いろんな経験をしてきた今の自分の考え。
昔からそう出来ていたわけではない。
でも自分のために書いておく。

自分にとっては映画を撮影する際、キャストとスタッフ、そこに集まる人でその映画は95%くらい決まる。だから、『この人しかいない』と思える人しか選ばない。人手とか関係ない。撮影に入ってその自分が選んだ人たちが動き出せば、その世界はもう自分の世界だ。あとはもう、『こうしたらもっと面白くなるんじゃない?』という提案しかない。だって自分には出来ないことをしてくれているのだから。


だからたまに別現場で俳優を『できていない』と責めている人を見ると愕然とする。自分が選んだんでしょ?って。できない人を入れたのは、そもそもあなたじゃないですか?って。そもそも、できないことっていうのは、その人にとって分かっていないことなんだから、そこを指摘し続けても分かるはずがない。逆にできていることはその人が無自覚でもできていることだから、そこを教えてあげた方が早いし効率的だ。


そもそも、できてるできてないの価値観自体が自分のちっぽけな世界観の中だけの特殊なルールであって、そんなちっぽけなルールなんて、広い世界の中では本当に無価値に等しいもの。それを押し付けていることには、いつも自覚的でなければならない。俳優を不安にさせれば頼ってくるから、気持ちよくはなれるけれど、自分はそういう関係は最初から望んでいない。

望みは『いい映画をつくる』その一点のみ。

だからそこになるべく効率的にたどり着くために、脚本とキャスティング、そのスタート地点には時間をかける。そこでGOがでれば、後はみなさんに楽しんでいただくだけ。楽しく優雅に名作がつくれたら、それが一番素晴らしい。


苦しむのは無駄。
苦しませるのも無駄。

現場で俳優さんやスタッフさんを迷わせたり苦しませたりするのは、申し訳なさすぎて自分には出来ない。そもそもの失敗の種は自分が蒔いているのだから。現場で自分自身が悩み苦しむのはまだ許そう。それを参加してくれている人にまで押しつけたらいけない。スタッフ、キャストは自分の現場に来てくれたお客様だ。

不要な苦しみが生まれる理由はただひとつ。
スタート地点。
そこですでに失敗しているのだ。
現場に必要なものは作品のテーマに関わらず、喜びと楽しさ。
そこから自由な発想が生まれる。

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