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2021年11月24日水曜日

エミリ・ディキンスン詩集


夢中で読みました。

最初の方はそうでもなかったのだけれど、まっすぐな言葉にどんどん引き込まれていきました。山田かまちの言葉に通じるものがあります。後半になるにつれ、生や死について書かれたその静かな情熱に支えられた強い叫びが胸に突き刺さってきます。
夜空に散りばめられたたくさんの星を発見した感動で叫びだしてしまいたくなる詩です。

ヒギンスンという人がエミリに初めて会ったときに「神経をこれほど消耗させる人と同席したのは初めてだ」と妻にその対面の様子を語ったそうです。いったいどんな人だったのだろう。詩を通して人間に興味が湧いてきます。1830年生まれ、19世紀の人です。ウイリアム・モリスもそうだけど19世紀の人や文化が気になります。産業革命の影響を受けながらそれ以前の素朴な人間の暮らしをどこかに大切に残している芸術家たち。彼ら彼女らの芸術にはそれ以降大量生産の何にのまれて失われていく手仕事の本当の豊かさが残っている気がします。

エミリは詩の中で大切なものをお金に変えないようにという意味の言葉を書いています。生きるため、生活するために今あるものをすべて売ってしまおうとしてしまうのではなく、本当に大切なものは命を賭けて守り抜かなければいけないなと心から思います。

美は —— 生み出されるのではなく —— それはあるのです ——
追いかけたら、なくなり ——
追いかけなければ、あり続ける ——
エミリ・ディキンスン

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