編集:ギヨ・ド・セ 翻訳:堀江珠喜
「サロメ」で有名なオスカー・ワイルドが、サロンなどで取りまきの友人・知人に語った小話(コント)の聞き書きを編者が収集してまとめたもの。第一部17編、第二部25編、第三部39編と81編の小話が収められています。ワイルドの小話を聞いた様々な人たちによる聞き書きなので、書いたのはワイルド本人ではありませんが、まずこれだけの話をサロンでちょっと披露できるだけの教養と知識の高さに驚いてしまいます。感銘を受けた聴衆がわざわざ書き残しておくぐらいの質の高い小話を、今となってはどのように表現したのかは分かりませんが、ユーモアを発揮しながら面白おかしく語ったのだと思います。こうした知識が土台にあって、ワイルドの文学世界があるのだなと改めてワイルドへの尊敬が深まりました。また、こうした知識や教養を下地にした当時の社交の楽しみ方は、やはり相当に洗練されたものがあったのだなと、この本から当時の雰囲気を楽しむことができます。いつも手元に置いておきたい一冊です。
The public is wonderfully tolerant. It forgives everything except genius.
大衆とはすばらしく寛容だ。天才以外のすべてを許す。
オスカー・ワイルド
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