今日は雨。
出かける予定を減らして家で書き物などをゆっくりやる。書くという作業はとても楽しい。空想がどんどん広がっていく。回収のことは今はまだ考えない。ひとつでもシーンを多く進めて最後まで辿り着くことが先決なのだ。書きながら批評や判断を下してしまうと確実に筆は止まる。未熟であることは百も承知なのである。
でもまだこれは誰にも見せない自分だけの世界なのだ。自分だけの世界で自分だけで遊ぶのだから、誰にも迷惑はかけていない。特に映画の脚本は自分の中でカメラが回っていて、そこに映っている映像を追いかけながら書いていくから、もうこれは映画を撮っているのと同じことだ。とても楽しい一人遊びの時間だ。
興行収益なんて関係ない。
また人の感情を逆撫ですることになるかも知れない。でもやりたくて見たいものがそうなるのだからもうやるしか仕方がない。初めから自分のやりたいことがおしゃれでかわいかったりかっこよかったりしたら、その自分のやりたいことをやることには何の葛藤もないのかも知れない。けれど以前、自分が本当に面白くて、自分の中では最高のエンターテインメントだと思って上映した映画で、お客さんが激怒したり涙ながらに抗議された経験があるので、自分の感覚はどこにあるのかまったく分からなくなって迷子になった経験がある。怒らせよう、挑発しようと思って作った映画ならまだしも、優しい気持ちでユーモアをたっぷりきかせた(つもりの)映画だったからだ。あの時の戸惑いと悲しい気持ちととてつもない不安な感覚は一生忘れない。だから今は何も怖くない。たとえ悪意を持って作ってもあれ以上の状況には決してならないだろうと思うから。
自分は恐らく大きくずれている。ことがある。
かなり範疇を越えている。ことがある。
そして自分でそれを自覚できない。ことがある。
前はそれでずいぶん悩んだけれど、今は違う。それが自分だと理解したから。だから作る。一人になっても作る。いやむしろ一人で作る。俳優をやるときは不思議と自分は自分の位置が分かる(気がする)。バランス感覚を持てる。悪意と善意を織り混ぜて、どんな脚本であってもお客さんにとって一番いい着地点を探して一緒に歩いていける。まだ踏み外すことはあるけれど。
映画監督としてはそれが出来ない。
でも、出来なくていいのかも。
きっとそれが唯一の武器になる。
好きなものと面白いと感じる感覚にはいつも正直であること。
さあ、続きを書きますか。
2019年2月28日木曜日
2019年2月27日水曜日
死は救い、生は問う
ミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』を観る。優しい映画なのかなと思って後回しにしていたのだけれど、ハネケ監督の映画の中で最も抉られた。丁寧に丁寧に抉られた。愛について考えた。そこにあるのは確かに愛だった。これは老夫婦ではなく、彼らの娘についての映画だったのだと最後に思った。ずっとスクリーンに映り続けている二人ではなく、何度か登場するだけの人物にすべての疑問を投げかけて映画を終えるハネケ監督の意地悪さが本当に素晴らしいと思う。死は救いであり、生は永遠に続く問いなのだ。生きることからは逃れることは出来ない。
Because I Always Feel Like Running
シアターコモンズ'19
オグトゥ・ムラヤ 『Because I Always Feel Like Running』
おそらく彼自身の母国語で語られていた字幕のない言葉が一番響きました。舞台で何かの役を演じるわけでなく、ただ観客と向き合って考えを語っていく演劇は日本ではあまり見ないけど、とにかく今を感じるから好きです。
人々は言葉を失い、沈黙する
“言論の自由と人権はもはや民主主義国家によって擁護されておらず、代わりにこれらの極めて重要な価値は先見性のない経済的利益と目下の利益のために犠牲にされています” アイ・ウェイウェイ
オムニバス映画『ベルリン、アイラブユー』でアイ・ウェイウェイの監督パートが削除。
中国だけではない。全世界の問題だ。
ファシズム、共産主義、独裁国家、民主国家、イデオロギーはもう関係なく世界はただ経済のために動かされている。経済さえ回れば、主義主張はなんでもいいのだ。
人々は言葉を失い、沈黙する。
その沈黙の中、お金だけが大騒ぎしながら蠢いている。
制作側が中国当局の反発を懸念
共感できない「共感」について
シアターコモンズ'19
田中功起 『可傷的な歴史(ロードムービー)』
2人の主人公に感情移入して劇映画のように楽しみました。ネットの映像だけで目線入りで登場するヘイトスピーチをする人たちが強く気になりました。四ツ木橋で痛ましい虐殺があった事も。「共感」についてずっと考え続けてました。
「共感」が美しい状況を生むこともあるけれど、同じようにその「共感」が痛ましい状況を生むこともある。チャーミングな主人公2人に「共感」して感動するけど、事実として出てくるヘイトスピーチや虐殺もまた人々の共感によって起きていることで、共感できない「共感」にもまた強く興味を持ちました。
「共感」が美しい状況を生むこともあるけれど、同じようにその「共感」が痛ましい状況を生むこともある。チャーミングな主人公2人に「共感」して感動するけど、事実として出てくるヘイトスピーチや虐殺もまた人々の共感によって起きていることで、共感できない「共感」にもまた強く興味を持ちました。
の・622
出演作『大仏廻国』の横川寛人監督の映画『の・622』が2/25よりインディーズ・シアター“ワンコイン”にて上映されます!
横川監督の世界観をぜひお楽しみ下さい!
そしてこのお昼の2時から500円でインディーズ映画が楽しめるこの企画も面白いですね。長く続けて欲しいと思います。
『の・622』(27分/2018年)
@ LOFT9Shibuya
2/25(月)~3/1(金)
14:00〜(13:50受付開始)
入場料:500円
2019年2月26日火曜日
実験映画と劇映画
今日はバストリオの黒木さんがやっている展示を見に谷中まで行きました。行くと今野さんをはじめとするバストリオのメンバーがいて、楽しい集まりになりました。今野さんが淹れてくれた珈琲を飲みながら映画談義。こないだ観たシアターコモンズの田中功起さんの映画から、今、自分が気になっている実験映画と劇映画の違いについて。実験映画はストーリーなど気にせず眺めていられるのに、なぜ劇映画になるとストーリーを分かろうとして観てしまうのか。分からないといけないと思い込んでいるのか。実験映画と劇映画の境目ってどこにあるんだろうかとかそんなことを話し合いました。アキ・カウリスマキ監督やミヒャエル・ハネケ監督の映画についてなど。それからとある映画のオーディションに。脚本について疑問がいくつかあったので、率直にお伝えさせていただきました。今の自分にとってはオーディションに受かる受からないの前に、いい映画がひとつ生まれるかどうかが何よりもとても大切な問題。今、書いているふたつの脚本も考えている時間がとても刺激的で興奮します。どうにも生理的なところに迫る表現にいってしまうのだけれど、それを怖れたり抑えたりしてはいけないなと。どこまでそれを打ち出して率直にかたちにしていけるかが、自分にとっての挑戦だし、快楽です。
2019年2月22日金曜日
出演作『真っ赤な星』本日より上映!
出演作『真っ赤な星』いよいよ本日(2/22)からアップリンク吉祥寺にて上映が始まります!
本日の上映後は井樫彩監督のQ&Aが開催。
どんな展開になるのか想像もつきませんが、いろいろ聞けるチャンスです!!
上映は28日まで。 イベントもいろいろ。
どうぞお楽しみに!
ダブルス・トーク - 現代文学の紹介
赤坂のゲーテ・インスティトゥートにて「ダブルス・トーク - 現代文学の紹介」。
テーマは「作家ウーヴェ・ティムとクラウス・コルドン ‐自身の家族史を語る」。
ドイツ文学翻訳者の松永美穂さんと酒寄進一さんによる作家と時代、戦争と家族についての興味深過ぎるお話。
翻訳者の愛と情熱に感服!
主演映画『グッドバイ』予告編
主演作である今野裕一郎監督『グッドバイ』の予告編です。
3月30日(土)〜4月5日(金)連日21:00〜
ポレポレ東中野にて
「動け、生きろ、泳ぎだせ!」
お待ちしております!
2019年2月21日木曜日
2/22〜 出演作『真っ赤な星』吉祥寺にて上映!
出演作『真っ赤な星』
アップリンク吉祥寺の上映スケジュールが決まりました!
2/22金20:00-
2/23土20:00-
2/24日20:20-
2/25月20:30-
2/26火20:30-
2/27水21:00-
2/28木20:30-
監督のQAを始めゲストを呼んだイベントも行う予定です!
どうぞお楽しみに。
アップリンク吉祥寺⇩
https://joji.uplink.co.jp/movie/2019/1541
主演作『グッドバイ』公開!
主演映画である今野裕一郎監督『グッドバイ』がポレポレ東中野にて公開されます!
3/30から4/5まで連日21時より。
当日券のみ1300円均一です。
3/23には『グッドバイ』公開記念・今野裕一郎作品オールナイト上映も開催!
詳細は特設サイトにてどうぞ⇩
どうぞお楽しみに!
2019年2月13日水曜日
2/14最新作短編映画『WATER TONE』上映!
2/14の吉祥寺での上映会にて『おーい、大石』と共に『WATER TONE』という29分の新作短編を上映させていただきます。
撮影は2014年。
5年かかりましたが、ようやくあの時起こっていたことを映画にすることが出来ました。
主演はダンサーの小暮香帆さん、音楽は松本じろさんです。
ぜひ。
CINEMA JOINT Vol.2
2/14(木)
OPEN:18:30 START:19:00
@ 吉祥寺ROCK JOINT GB
前売2000 当日2500
※別途ドリンク代600-
【上映作品】
今野裕一郎監督
『ハロー、スーパーノヴァ 』
+松倉如子さんミニライブ
菊沢将憲監督
『おーい、大石』『WATER TONE』
イベント詳細⇩
http://busstrio.com/archives/4531
予約フォーム⇩
https://www.rjgb.tokyo/reserve
主演はダンサーの小暮香帆さん、音楽は松本じろさんです。
ぜひ。
CINEMA JOINT Vol.2
2/14(木)
OPEN:18:30 START:19:00
@ 吉祥寺ROCK JOINT GB
前売2000 当日2500
※別途ドリンク代600-
【上映作品】
今野裕一郎監督
『ハロー、スーパーノヴァ 』
+松倉如子さんミニライブ
菊沢将憲監督
『おーい、大石』『WATER TONE』
イベント詳細⇩
http://busstrio.com/archives/4531
予約フォーム⇩
https://www.rjgb.tokyo/reserve
2019年2月6日水曜日
映画の歴史に。
『1900年』316分 ベルナルド・ベルトルッチ監督
『ファニーとアレクサンデル』311分 イングマール・ベルイマン監督
『ファニーとアレクサンデル』311分 イングマール・ベルイマン監督
どちらも5時間を超える大作。
同じ5時間でも劇中の時間の流れがまったく違って面白い。
そしてどちらも眼を楽しませてくれて心も豊かにしてくれる。
このような映画を歴史に遺してくれてありがとうという気持ちしかない。
長いことはいいことだ。
ヨーロッパの美はスケールがでかすぎる。
このような映画を撮りたいし、出演したい。
映画の歴史に残るような映画を。
2019年2月4日月曜日
『おーい、大石』主演、大石貴也さんコメント!
2/14の監督作『おーい、大石』上映に向けて、主演の大石貴也さんよりコメントをいただきました!
「おーい、大石」が再上映されます。私はこの映画を愛しています。チョコレートを渡したいくらいです。だから、こんな嬉しいことはありません。菊さんと惟ちゃんと過ごした夏。荒川の土手で三人で走りまわって撮影したあの夏を、私は忘れません。「全部自由でいいんだよ」あの言葉にどれだけ救われたろう。「おーい、大石」は生き続けます。観てくれる人の心の中で、きっと。。。ぜひご来場下さい。 Love and Peace !
ぜひ足をお運び下さい!!!
2/14 映画の対バンイベント “CINEMA JOINT”
2019年2月3日日曜日
2/14、監督作『おーい、大石』上映!
2/14(木)19:00〜、監督作『おーい、大石』が今野裕一郎監督の映画『ハロー、スーパーノヴァ』と対バンで上映されます!
会場は吉祥寺のライブハウス!
PFFアワード2016入選作であり、審査員の荻上直子監督から「自由な風を吹かせていた」と絶賛された『おーい、大石』をスクリーンでぜひどうぞ!!
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