シネマ歌舞伎で中村勘三郎さんの「春興鏡獅子」を観ました。
素晴らしかったです。
小姓弥生のしなやかな舞と、荒ぶる獅子の精の舞、ふたつの対極の要素を持った踊りを凄まじい緊張感で踊り抜いていきます。
音楽も素晴らしく、特に獅子の精が現れる直前の恐ろしい沈黙の中に流れる呼吸、気迫はまさに鬼気迫る静けさ。
その静けさを切り裂くように登場する獅子の精とその踊り。
胡蝶の精を演じる二人の子供の踊りと相まって、舞台に現れるのは豪華絢爛なあまりにも美しすぎる狂気の世界。
泉鏡花の小説の世界をこの世に観るようでした。
勘三郎さんの「春興鏡獅子」への思い入れもインタビューで聞けるのですが、聞いているだけで涙が出てきます。
勘三郎さんは生の舞台で観たのはNODA・MAPの「表に出ろいっ!」と歌舞伎座で観た世話物の二本しかないのですが、シネマ歌舞伎で観た「野田版 鼠小僧」ではまって映画館に二回観に行って、大好きになりました。
あとは野田さんにDVDを借りて観た「野田版 研辰の討たれ 」、そして今回の「春興鏡獅子」ですが、勘三郎さんの演技を観ていると、「もっとこうできるんじゃないか、ああできるんじゃないか」と今の自分の演技にフィードバック出来る部分が多くて、飽きることがありません。
お金と時間が許す限り、何度でも観たい演技です。
もう生で演技を観ることは出来ませんし、ご挨拶することも出来なくなってしまいましたが、まだ映像で観ることが出来ますので、こうして追いかけ続けていくつもりです。
勘三郎さんの祖父、六世尾上菊五郎さんの「春興鏡獅子」も小津安二郎監督によって映画化されていますので、それもいつかスクリーンで観るつもりです。
「型があるから型破り 型が無ければ型なし」 中村勘三郎
2013年12月3日火曜日
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