川辺でよく犬を連れて歩いているおばあちゃんに久しぶりに会いました。今日はじめて年齢を教えてくれましたが、なんと94歳!あまりに若くて驚きました。今日は長くいろんな話を聞かせてくれて、大東亜戦争のときに頭の上をはじめてB29が飛んで行った日のこと、仕事の帰りに鉄橋を渡っていて汽車に轢かれそうになって川に飛び込んだ話などなど、たくさん聞かせてくれました。カメラを回したかったけれど、回した瞬間にこの時間が違うものになってしまいそうな気がして回せませんでした。こうして名も知らぬ人からたくさんの話を聞かせてもらうのが大好きです。書けって言われても絶対に書けない物語たちが無限にあって、こちらが耳を傾けた瞬間にそれらの物語の扉が突然開かれるのです。こうして出会った無限の物語を構成して、『世界を描く』のではなく、『世界そのもの』を映画でやりたいです。どれだけ辛く厳しいものであったとしても、それらの現実ほど、確かで優しくて美しくて驚きに満ちたものはないですから。自分が演じるときも、その確かなものだけ持って、あとはまっ裸でいられたらいいなと思っています。あのおばあちゃんのようには存在できないから。その当たり前の事を、いつまでも忘れないように。
『演出とは、作家がシナリオを書き上げた時頭に浮かべていたものを生み出すことではない。それは、存在する何物かを、瞬時に生きることである。』
ジャン=リュック・ゴダール
2017年6月1日木曜日
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