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出演情報

最新の出演情報などは以下のweb、Twitterにてご確認下さい。


webhttp://masanorikikuzawa.strikingly.com
Twitterhttps://twitter.com/renonremon

2016年12月30日金曜日

映画評をいただきました。

古くからの友人、国武さんより映画評をいただきました。
特に『二羽の鳥、徹夜祭。』についての感想が素晴らしかったです。
男性からの支持の多い映画だったので、その理由が分かった気がします。
どうもありがとうございます!
ぜひお読み下さい⬇︎
『Sweet enough presents 世界のKIKUZAWA映画三本立て上映会』を観て : Itoshima Diary

2016年12月28日水曜日

あたたかい風が吹いている。

博多はどんだけ寒い日でもいつもあたたかい風が吹いている。いろんなことが変わっていっても、いつもそのあたたかい風は吹いているんだろう。青年センターでお世話になった宗さんと、くうきプロジェクトってアートイベントを一緒に立ち上げた井岡っちと久しぶりに飲む。天神の楽天地&ウエスト!

帰りに気分よく天神を歩いていると20代の頃、毎週水曜日にギターを抱えて7年間歌い続けたライブハウス「照和」がまだ変わらずそこにあった。全然変わってない。出演してた当時はほんとに濃度が高くて野武士のような歌うたいのたまり場だった。出演料はビール一本(シブすぎ!)。ライブが終わったら近くの角打ちで盛り上がって最後は喧嘩。喧嘩するなら飲まなきゃいいのにやっぱり次の週も飲んで喧嘩。「お前の弦の張り方は何だ!」って怒鳴られたり回し蹴り事件とかいろいろあったな。10年選手が並ぶ水曜の先輩たちに絶対負けんぞとギターかき鳴らして叫び続けた20代の戦場だった。スマートに成功目指してる人なんか1人もいなくて、みんながみんな不器用で、あちこちぶつかりまくってて、でも本物の歌うたいやった。人がどうとかやなくて、自分がどうやったんかってことがすべて。今の自分をつくってくれた大切な場所。

その福岡で(久留米やけど)自作の映画を上映する。ドキドキしてる。お客さんはたくさん予約してくれて、人数はちょっとオーバー気味やけど、それでもまだ宣伝。予約もまだ受け付けます。

ギュウギュウで観ましょう。
ガヤガヤ楽しみましょう!
お待ちしてます!

『Sweet enough presents 世界のkikuzawa映画三本立て上映会』
https://m.facebook.com/events/912047815563897

2016年12月26日月曜日

『おーい、大石』いよいよ上映!



いよいよ明後日、12月28日に開催されます。菊沢将憲監督作3作一挙公開!予定された席数は埋まってまいりましたが、まだまだ駆け込み予約大丈夫です!何でもそうですが大勢で観た方が楽しめます!まだまだご予約受け付けます!
最後に『おーい、大石』のご紹介です。
PFFアワード2016入選。最終審査員であり、「めがね」「かもめ食堂」の荻上直子監督が「大好きな映画」「この映画は芸術」と絶賛、RADWIMPSの野田洋次郎さんも大好きな映画のひとつとして選んでくれました。同年の入選監督である『人間のために』の三浦翔監督からも「東京で全作見たので言いますけど、『おーい大石』が一番の傑作です」との言葉を、イタリアの映画評論家Giorgio Placereani氏より映画評にて「前衛的で芸術性が高く、詩的で印象的、監督自身の喪失感、孤独感、嘆きの絶対的な記憶が胸打つ作品」と評されました。
http://placereani.blogspot.jp/2016/12/hey-oishi.html
とはいえ評価の分かれる映画であったことも確かです。
自分自身がそういう映画が好きであることも確かです。
ぜひ観ていただいて、好きか嫌いか、どこが好きでどこが嫌いか、ぜひいろんな意見を聞かせていただけたらと思います。

「おーい、大石」(2015年/カラー/26分)
【ストーリー】
ある川のほとり。ずっと続けてきた平和活動に疲れたキクザワと、つい最近お母さんを亡くしてからずっとその川のほとりに住んでいるオオイシが再会する。もうすぐ40歳、いい歳をしたおっさん二人、オオイシとキクザワはそこでいろんなことを話し合う。お母さんについて、平和について、愛について、神について、自由について、この世界について、生きるということについて。夢見ながら、笑って、泣いて、怒って、叫んで。「神様なんていないよ。だから全部自分で決めていいんだよ。全部自由でいいんだよ。」青春なのか哀愁なのか、男二人のどこにも行かないロードムービー。
【キャスト】
オオイシタカヤ:大石貴也
キクザワマサノリ:菊沢将憲
黄色いセミ:清原惟
脚本・撮影・編集・音楽・監督:菊沢将憲

『Sweet enough presents 世界のkikuzawa映画三本立て上映会
2016/12/28 (水) @sweet enough
(19:00open)
・19:30start
《上映作品》
「親父と俺、ただ面白く生きる也。」10min
「おーい、大石」26min
(途中休憩10min)
「二羽の鳥、徹夜祭。」48min
◎終映後、トークライブ、終了時間 21:30予定◎
料金1000円 (ワンドリンク込み)
ーーー
久留米に一本ぴっと立った素敵なアンテナ、sweet enoughにて、皆様と素敵な時間を分かち合えることを楽しみにお待ちしております◎
チケット予約など詳しくはこちらからどうぞ!
https://www.facebook.com/events/912047815563897/

2016年12月25日日曜日

驚きの連続の中で。

新宿はクリスマスで歩行者天国。
久しぶりにある映画監督さんと会う。
来年呼んでいただいている企画について。
何やら混沌としている。
素晴らしいと思う。

脚本もらって台詞覚えて衣装を決めたらハイ!じゃない。いつもそれが何なのかって話からはじまる。やろうとしてることが何なのかってとこからスタートする。危険なんだけど面白そう。ジャンルレスでいちかばちかでぶっ飛んでいる。

そういうことを今、求めてる。

得体の知れないもの。
計り知れないもの。
それが今、一番興味があるもの。
それが今、一番やりたいこと。
それが今、一番つくりたいもの。

新作の編集も進んでいる。
編集の中で自分の映画が声をあげる。
叫びはじめる。
その叫び声を聴いてはじめて、自分の映画を知る。

驚き。
これしかない。
驚きの連続の中で生き続けるんだ。
驚きの連続の中で。

2016年12月23日金曜日

二羽の鳥、徹夜祭。


12月28日に福岡県久留米市で開催される『Sweet enough presents 世界のkikuzawa映画三本立て上映会』にて上映される3本の中のひとつ『二羽の鳥、徹夜祭。』のご紹介です。ぴあフィルムフェスティバルの一次・二次審査で『おーい、大石』と人気を二分した2本目の映画で、どちらが入選してもおかしくない評価だったそうです。

自分も含めて映画に関わった4人が全員映画監督だったので、撮影の緊張感がとてつもなかったですが、自分では考えつかなかったアイデアを出してもらったり、素晴らしい演技でみんなからたくさんのインスピレーションをいただきました。古くからの詩人の友人に脚本を依頼したため、特に言葉の力について、とても高い評価をいただいています。

「二羽の鳥、徹夜祭。」(2016年/カラー/48分)
【あらすじ】
男はある日、女に再会し、その女に連れられて、女の祖母の家の片付けに向かう。久しぶりに会った女は誰かの子をお腹に宿していた。初めて訪れたその家で、男は家の中に残る空気やにおい、ある感覚にひき寄せられて、いつしかそこにもう一人の幻の女の存在を感じるようになる。それは祖母の姿なのか、その家そのものの姿なのか、それとも...。 
「おーい、大石」と同時にPFFアワードに出品した編集を自分で手がけるようになってから2作目の映画です。一次・二次の審査員の間で「おーい、大石」と人気を二分し、最終的に「おーい、大石」が入選することに決まったものの、最後まで人気の高かった映画です。審査員の一人、映画館『 ポレポレ東中野』スタッフである小原治さんから「菊沢将憲監督『おーい、大石』『二羽の鳥、徹夜祭。』 には“現在”という場所を多面的な価値から捉え直す視点が組み込まれていて、僕らが生きている日常感覚を揺らすリアリティの在処を感じさせた。それをSF映画のような回りくどさではなく、知覚の扉を言葉で直接ノックするような近さ で描いているのが、とてもよかった」とのコメントをいただいています。詩人である友人に脚本を依頼し、言葉の力によって現実と幻を往き来する物語を追求しました。主演の男女、 今野裕一郎さんと橋本和加子さんは独自の手法で知られる演劇ユニット「バストリオ」のメンバーであり、それぞれ映画監督でもあります。映画を彩る二人の演技と、「おーい、大石」にも出演していた清原惟さんの独特の存在感も必見です。
【キャスト】
男:今野裕一郎
女:橋本和加子
幻の女:清原惟

【スタッフ】
脚本:栖木真
スタッフ:清原惟
脚色・撮影・編集・監督:菊沢将憲

ご来場お待ちしています!
『Sweet enough presents 世界のkikuzawa映画三本立て上映会』
https://m.facebook.com/events/912047815563897

2016年12月22日木曜日

親父と俺、ただ面白く生きる也。


12月28日に福岡県久留米市で開催される『Sweet enough presents 世界のkikuzawa映画三本立て上映会』にて上映される3本の中のひとつ『親父と俺、ただ面白く生きる也。』のスチル写真です。受賞したものの上映されなかったので、これが初上映になります。今の世界情勢を見る限り、その世界を構成する最小の共同体=家族について考え直すことが絶対にこれからのキーワードになってくるはず。今、この映画が上映できる環境が整ったのも何かの縁です。ぜひ語り合いましょう。
日韓ムービーフェスティバル2009
日韓海峡圏映像賞受賞
『親父と俺、ただ面白く生きる也。』
(2008年/モノクロ/10分)
監督である菊沢将憲が人生で一番苦手な存在であった自分の父親にカメラを向け、酒を飲みながら話し続ける父親をただただ撮り続け、それを10分にまとめたドキュメンタリー。自分の父親は何故この人だったのか、いやこの人だったからこその自分なのだ。
日韓ムービーアワード2009/日韓海峡圏映像賞受賞作品。
キャスト
菊沢憲治・菊沢キミ子・菊沢将憲
スタッフ
撮影・監督:菊沢将憲
編集:横山俊一
音楽:吉川達也

2016年12月21日水曜日

映画と旅する

映画関係の人と打ち合わせ。
映画を愛する人と話すのは楽しい。
大きなものがやたら幅をきかせる世の中だけど、
小さくても大切に思えるものを守ろうとしている人がいる。
でかい組織の中でも戦ってる人がいる。
確かにいる。
希望にあふれてる。
いい映画を撮ろう。
心がふるえるものを。
そしてまたその映画を持って、
旅に出る。

2016年12月20日火曜日

TOMORROW

この映画、ぜひ見たい。
うちの最寄り駅前の商店街、住みはじめた6年前は豆腐屋や花屋、服の仕立て屋さんや八百屋さんなど個人経営のお店がたくさんあった。今、気がつくとそれらのお店が次々と閉まっていき、そこに何の面白味もないビルやアパートが建てられていき、お店がどんどん孤立していき残った商店街の人たちは嘆いている。江戸時代の身分や職業を固定する制度って実はとっても良い制度だったんじゃないかとどこかで思いながら、寂しくなっていく商店街を見つめている。景気がどんどん落ち込むと、人は自分の身を守ることでせいいっぱいになってしまうみたいだ。

世の中を見てもとてもまともな未来がこの日本に訪れるようには感じられないのだけれど、他の人はどう思っているのかな。もし自分に子供がいたら、子供のことが心配で死んでしまうかも知れない。今後、景気が良くなることはないと思う。景気をつくるのは結局人だから、人に目を向けない社会が良くなるはずがない。格差は広がり、大多数が貧困にあえぎ、徴兵がはじまって、とられるのはまた貧しい人たちの子供だろう。そうはならない、日本は必ず明るくなるってみんな信じているのかな。だから何もアクションしないのかな。自分に子供がいる人ですら。

どんどん寂しくなっていく駅前の商店街を見てるだけでも、この国が今何をしていて、どうなろうとしているのかは想像出来る。まだ経営している米屋さん。全てを玄米から適正価格で販売し、販売する全ての米のことをお客さんに説明するために、違う種類のお米を毎回三合ずつ炊いて、夫婦二人だから食べられない分は近所に配っているそう。二人ともすごくお米を愛していて、誠実で力強い対応で、いつも元気をもらっている。でも息子二人が継がないそうなので、下手するとあと数年で消えてしまうかも知れない。自分に出来ることは今はお米をそこで買うことだけ、そして二人の貴重な話をたくさん聞かせてもらって、「がんばって下さい!」って声をかけて帰るだけ。「おう、がんばるよ!」って親父さんの言葉を背に、「誰かこの米屋の灯を継いでくれ!俺は役者で、映画監督なんだ!今回の人生で米屋を継ぐことは出来ないよ!」と心の中で叫ぶことしか出来ない。

行きつけの古本屋のおっちゃんもそうだよ。
高い技術と経験を持って誠実に商売してる人たちから先に消されようとしている。
必要でないものとされている。

本当にいいものが見えなくなってる。
本当にいいものが消えていこうとしている。
でも誰も気がつかないし、声も上げない。
ただ明日の自分の生活費だけが、何とかなればそれでいいのだ。
自分が遊ぶための金が。

近所で誠実に商売している大好きな親父さんやおかみさんのように自分も舞台や映画をつくる。「難しくって、ワケわかんねえや」って言われるだろうけど、それでも。
自分の力で出来ることはあるはずだから、やらなきゃいけない。
消えていった豆腐屋さんや八百屋さん、いい顔してたもんな。
ああいういい顔をしてみんなが生きていける道を、つくらなきゃいけないんだ。
考えないと、いけないんだ。
この映画が正解だとは限らない。
でも考えるきっかけとして何かがないと、何もはじまらない内に全てが終わってしまう。

2016年12月19日月曜日

絶対に認めない。

コーヒーを飲みながらゆっくり考え事が出来る朝。
こんな日が来るとは。

うちの猫の額ほどの庭に子猫たちが集まって遊んでおります。
ああ、これこれ、これが日常!



あうるすぽっとプロデュース『ノイズの海』無事に終演しました。
ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
とにかくダンスのことしか考えられない一ヶ月でした。
長時間で特に休憩もなく(前半戦は特に)踊り続ける毎日というのは新鮮でした。
おかげで本番体力がついてよかったです。
本番は1時間踊ればいいだけですからね。
稽古のように7〜8時間も踊り続ける必要はないのですから。
『桜の園』の中国公演で2キロ落ちた体重がこの一ヶ月でさらに3キロ落ちて本当にすっきりです。
4回の本番は本当にいろいろありました。
一番骨身に沁みたのは『お客さんに自由に考えを広げてもらうためには、舞台上でのパフォーマンスが非常に厳密である必要がある』ということです。こちらのパフォーマンスが完璧であればあるほど、お客さんがその舞台を見て考えを広げることの出来る自由度の幅が広がっていくということです。残念ながらうまくいかず、全体のパフォーマンスが甘くなってしまった日があり、その日は本当に、いつも熱気に満ちているはずの終演後のロビーの様子が違いました。その日は本当に悔しくて眠れませんでした。アンジェリカ・リデルがいつも言っていた『完璧であることを楽しんで下さい』の意味を身をもって噛み締めた夜でした。完璧でなければ、それ以上の場所に跳んでいくことは出来ないのです。絶対に。

自分がつくったものを通して、今まで考えもしなかったようなことを考えてもらうこと、疑問にも思わなかったことに目を向けてもらってもう一度考え直してもらうこと。それが自分がものをつくる目的です。
『泣けた』とか『笑えた』とか安易な『共感』で終わるようなものでは我慢できません。
『感動』という言葉の持つ力がどんどん薄く軽くなっていくこの日本、もう『感動』なんかしなくても、させなくていいとも思います。『感動』なんていいから今はとにかく『考えたい』。『考えさせたい』。日本人はとにかく疲れすぎてて『考える』ための気力も体力も本当に失ってしまって、『感動』とか『共感』とかいう甘くてやわらかいものにしか価値を見出せなくなっているような気がして心配です。

本当の意味での『感動』ってもっと危険なものだと思います。
自分の人生を揺るがすような。
もっと自分を鍛えていきましょう!

今日からひとまず落ち着いて、先の計画を立てていきます。
連絡が滞っていた方に連絡し、会い、企画を立て実現に向けて動いていきます。
いくつか決まってきている魅力的なツアーもありますし、これまでなかったような企画もあります。
映画監督としても新作の編集がついに始められます。
構想段階も、脚本書きも、撮影のギリギリ感もとっても好きだけど、やっぱり何と言っても大好きなのは編集です。漫画家になりたかった時代もあったりフリーペーパーの編集をやっていた時代もあったので、撮った素材を自由にコラージュして構想にも脚本にもなかった新しい意味を映画の中に発見していくのがなにより楽しみで、それは本当に自分にしか分からない世界です。脚本は尊重しますが、脚本通りに仕上げるつもりもまったくないので、どんな映画になるかは自分以外の誰にも、いや、自分自身にも今は分からない状態で、脚本があっても、撮影された素材がどれだけ揃っていても、そこに編集という魔法をかけて自分の映画にできるのは世界に自分一人しかいないという状況がとてつもなく楽しいのです。世界でただ自分にしか理解できない『厳密なルール』によって。

あとは年末の福岡県久留米市での監督作3作一挙上映。
これも楽しみです。映画について考えて、語るのです。
みんなで考え、語りましょう!
12月28日
水 19:30福岡県福岡県 久留米市
興味あり44人・参加予定20人

もうすぐこれまで映画を通して知り合った気の合う映画人たちと集まります。
一緒に考えることができる人たちです。
日本がどんな状況になろうとも、指をくわえて眺めているわけにはいかないので、世界にまだ生き残っている同士を集めて、自分たちの考えを世界に打ち出していかなくてはいけません。沈没していく船にただ泣きながら何もせずに乗っているつもりはありませんから。穴をふさぐことができるかも知れないし出来ることはまだあると思いますし、同じ考えで立ち向かえる人たちも世界にはまだいるのだし。
忌野清志郎もこう言ってます。
『やっぱり「なんであんな下らない音楽がオレの10倍も売れるんだろう」とか「今に見てろよ」とかいう朴訥(ぼくとつ)な反発力は必要。そこで辞めるとなるとさ、そのつまんない音楽を認めなきゃいけないっつうことになっちゃうからね。』
絶対に辞めないし、絶対に認めないぞ。明日が世界の終わりでも。



2016年12月15日木曜日

『ノイズの海』初日!




『ノイズの海』本日12月15日、池袋あうるすぽっとにて初演です。
踊りに夢中でこんな絵になっているとはまったく知りませんでした。
見たことのない視覚体験になると思います。
ご来場、お待ちしております。

『ノイズの海』共演者の南雲さんに貸してもらったニコラ・フィリベール監督の『音のない世界で』を見ました。『ザ・トライブ』とは正反対の明るい善意と希望に満ちた映画でした。自分が小学生の頃、耳の聞こえない子が普通にクラスにいて、多少伝わりにくかったけど、みんなで仲良く遊んでいたのを思い出しました。この映画の中で出演者が手話で語っていることが『ノイズの海』にもメッセージとしてこめられているなあと感じました。手話教師の人が『手話にもそれぞれの国の言語があるけれど、2日あれば違う国の人とも通じ合えるようになる』と語っているのを見て、世界共通で手話を第二、第三言語として学ぶようにすれば、もっと世界中の人たちとすぐにつながれるようになるのになあと思いました。『ノイズの海』いよいよ小屋入りです。ふだん何も考えずに受け容れている音について、改めて考えたり感じ直したりする不思議な時間になると思います。今年最後の舞台です。ぜひどうぞ。https://m.facebook.com/story.php…

2016年12月6日火曜日

イタリアの映画評論家より批評をいただきました。

イタリアの映画評論家、Giorgio Placereani さんに監督した映画『おーい、大石』の批評をいただきました。「アヴァンギャルドで、自分のフィールドからは遠いが、とても興味深く思う」とのこと。
ぜひご覧下さい。イタリア語です。

It's about my movie "hey, Oishi". 
Kikuzawa Masanori H a senso parla re un cortometraggio che ( quasi ) sicuramente i lettori di questo blog non vedranno mai? Beh: pot ...
PLACEREANI.BLOGSPOT.COM|作成: GIORGIOPLAC

2016年12月5日月曜日

『アンジェリカ、ある悲劇』ご来場ありがとうございました!

『アンジェリカ、ある悲劇』ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
横堀さんの司会とみなさんのあたたかい雰囲気のおかげで、とても楽しいトークになりました。アンジェリカのいろんな面を知っていただいて、またいつか彼女の作品を楽しんでいただけたらと思います。
アンジェリカが心配していた日本の文化の話などもいつかまたお話ししたいです。
来年のツアーもありますが、しばらくはアンジェリカにもらったエネルギーを自分の創作に注ぐ作業に力を込めていきます。
フェスティバル/トーキョーさんが写真3件を追加しました。
昨日の『アンジェリカ ある悲劇』プレミア上映会終了後には、今年7月にアヴィニョン演劇祭で初演されたアンジェリカ・リデル新作『わたし、この剣でどうしよう』に出演した菊沢将憲氏(俳優・映画監督)と横堀応彦氏(F/T プログラム・コーディネーター)によるトークセッションが開催されました。
リデルの創作を間近でみた、菊沢氏さんならではの興味深い話の数々が聞かれました。今後のツアーにも参加する予定の菊沢氏。今後の公演も楽しみです。

2016年12月2日金曜日

本気で踊る。

黒沢美香さんが亡くなった。
ネットでの情報だけど、見て、「えっ」となって…。
美香さんとの出会いは2007年、福岡ダンサーズとして「sing sing sing」に出演したのがはじまりだからもう10年近く前。この年は黒田育世さんとも初めて会って舞台を共にした年だから、本当にダンスで世界が広がった一年だった。正直、それまでのダンスのイメージは「手をひらひらさせて、体をくねくねさせて動くこと」でしかなかったから。踊りながら、これでもかってくらいに稽古して、共演者とバチバチ火花散らせながら踊って、「踊りでここまでなっちゃっていいのかな?」が「ここまでいかないと踊っちゃダメなんだ」に変わっていった。だって、本番前日に「もし明日、踊りたくないと思ったら、踊らずに客席で見てもいい。それもダンス」と美香さんが言い切って、本当に客席で見てた参加者もいたぐらいだったから。ずっと稽古してきたのに。本気で。

その当時の日記にはこう書いていた。

「昨日は気が狂うかと思うほど美香さんのダンスが怖かった。 
怖いものは怖いままにしていたくない。飛び込んだ。 
美香さんのダンスは人生。人生って言葉じゃ軽くなっちゃうな。 
とにかくすごいです。
育世さんもそうだったけど、踊りの世界の本気の人ってちょっとすごすぎる。 
ほんとにすごすぎる。 」


「sing sing sing」の後の美香さんのソロ、ゆっくり出てきてマッチ箱を客席にばら撒く美香さんを見ているだけで、涙が溢れて止まらなくなった。マッチ箱をばら撒くだけで人を感動させるって何なんだろうって、本当に考えさせられた。

数年前に美香さんの舞台にオファーを頂いたけれど、予定が詰まっていて出られなかった。今になって思えば、もう取り返しがつかない。体が悪いっていうのは聞いていたけれど、それでもずっと元気に踊っていたし、これからもそれはずっと続くのだと思っていた。「この次」というのは存在しない。自分にも、相手にも、そんなに悠長に時間は与えられていないのだから。お金も本当に大事。ないと生活できなくて死んじゃうから。でもそれより大事なものは確実にあると、今は強く思う。ただ生きることよりも大切なものは確実にあると、今は思う。
自分の能力を最大限使って、これだと思う人の、これだと思える作品に、人生をすべて捧げること。これが役者としての自分の人生。
そして映画監督として、そうした作品を自分の手でつくり続けること。

人間は死なない。決して死ぬことはない。
死なないからこそ、本気で生きなくてはならない。
美香さんも死んじゃいない。いつもそこで見てくれている。
本気で踊らなきゃ。いつも本気で。

2016年11月30日水曜日

アンジェリカ、ある悲劇

【12月1日、入場無料の上映会です】
今年の夏にスペインのエスコリアルで稽古を共にし、アヴィニョン演劇祭でその舞台“¿QUÉ HARÉ YO CON ESTA ESPADA?”を初演したスペインの演出家アンジェリカ・リデルのドキュメンタリー映画『ある悲劇』がセルバンテス文化センターにて12月1日に一夜限りで上映されます。世界に何人か心から尊敬する演出家がいるのですが、アンジェリカはその中でも最高峰の演出家です。激し過ぎる愛と激し過ぎる憎悪から生み出された舞台を臆することなく世界に突きつける彼女の姿勢に自分も大きな影響を受けています。芸術家に必要な勇気を誰よりも持っている女性です。映画をまだ見ていないので内容については語れませんが、彼女の姿勢、まなざし、そしてその勇気を感じることが出来るはずです。ますます甘くなっていく、甘くなっていかざるを得ない日本の芸術全般に満足出来なかったり疑問を感じている人には、何かを見出すチャンスになるかも知れません。自分もアンジェリカと出会って、つくることに対する絶望と希望を目の当たりにし、それでもつくらなければいけないのだという勇気をもらいました。上映後のトークイベントに出演させていただきます。アンジェリカとの日々のこと、彼女が言ったこと、見せてくれたこと、余すとこなくお話しさせていただきます。無料ですし、騙されたと思って気軽に足をお運び下さい。お会い出来るのを楽しみにしています。

アンジェリカ・リデル ドキュメンタリー映画上映
アンジェリカ 『ある悲劇』(2016)
監督:マヌエル・フェルナンデス=バルデス

F/T15『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』で大きな衝撃を与えたスペインの鬼才アンジェリカ・リデル。同作品が初演を迎えるまでの日々を追ったドキュメンタリー映画を特別上映。上映後には、今年7月にアヴィニョン演劇祭で初演されたアンジェリカ・リデル新作『わたし、この剣でどうしよう』に出演した菊沢将憲(俳優・映画監督)と横堀応彦(F/T プログラム・コーディネーター)によるトークセッションを開催します。
*本上映は、セルバンテス文化センター東京主催「映画・音楽フェスティバル ドゥエンデ」のプログラムの一部です。

会場 セルバンテス文化センター東京
地下1階オーディトリアム
日程 12/1(木) 19:00~
上演時間 86分
言語 スペイン語上映、英語・日本語字幕
入場料 入場無料(要予約)
共同主催 フェスティバル/トーキョー、
セルバンテス文化センター東京

“Angelica. A tragedy” (2016)
This documentary by Manuel Fernández-Valdés is about Angélica Liddell, the groundbreaking creator of “All the Sky Above the Earth (Wendyʼs Syndrome)” that was part of F/T15. The actor and film director Masanori Kikuzawa, who appeared in the world premiere of Liddell’s “And what will I do with this sword? Approach of the Law and of the Issue of Beauty” in July at Festival d’Avignon, joins Masahiko Yokobori (F/T Program Coordinator) for a post-screening talk.

Part of Instituto Cervantesʼ Festival de cine y música Duende

Venue Instituto Cervantes (B1F Auditorium)
Date 12/1 (Thu) 19:00
Running Time 86 min.
Language Spanish with English and Japanese subtitles
Tickets Free (reservation required)
Co-presented by Festival/Tokyo, Instituto Cervantes

予約はこちらから
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha109733_67_25.htm

こちらもぜひお読み下さい。
一緒にトークさせていただく横堀さんの素晴らしいレポートです。
http://www.festival-tokyo.jp/16/ft_focus/vol16/

2016年11月20日日曜日

ノイズの海に泳ぐこと。

音の聴こえない人が目を閉じると、本当に静かで穏やかな世界に行くようです。けれども聴こえる自分にとって音は、決して遮断することが出来ず、どこまでもつきまとってきて、いろんなカタチで感情に影響してくる存在なのです。電車の音、ハイヒールの音、話し声、風の音、音が聴こえない時はありません。そしてそのどの音にもひとつひとつエネルギーがあって、それがいつも心を揺さぶってきます。五感の中でも最も受動的な(いや、逆に最も能動的なのか?)存在である聴覚は、耳から流れ込む様々な音をそれが何の音であるかを分類して整理し、人の心がなるべく掻き乱されることのないようにしているのではないでしょうか。例えば、聞いたことのない音が耳に入ったとき、人は目で見てそれが何の音であるかを確認することでまず安心しようとします。そしてその音を分類し、次に聴いた時はその記憶につなぐことで、目で確認せずとも理解することが出来るようになるのです。もしその機能がうまくいかなかったら、人はすべての音にいちいち反応しなければならず、心はメチャクチャに引き裂かれてしまうはずです。聴こえない人とこうして稽古を共にすることで、聴こえるということに、聴こえてくる音に、どんどん敏感になっていきます。聴こえるということはノイズの海に泳ぐこと。その泳ぎ方を間違えると、きっと溺れてしまうのです。聴こえない人が知っている、本当に静かな世界に憧れます。「ノイズの海」稽古一週目、自分が何を取っ掛かりにして、何を伝えることが出来るのか、今その糸口を見つけようとしています。

2016年11月18日金曜日

人間のために

今年のPFFアワード入選監督で、『おーい、大石』を最初から最後まで熱烈に支持してくれた三浦翔監督の『人間のために』を見せていただく。
中身のぎっちり詰まったものすごい映画だった。
この監督に支持されていたそれだけでもPFF入選はよかったのではないか。
名古屋会場にバスが遅れてスクリーンで見れなかったのを残念に思う。
こちらも言葉にしなければいけないことがとてもたくさんある映画だから。
受け止められるかどうかは、見る側にも責任がある。
今、世の中は『お客様』に自分で考えさせてはいけない時代なのだなと改めて確認する。
毒は『毒のようである』ことが非常に重要で、本当の毒は受け容れられない。
本当の毒は見て見ぬふり。
でもまったくそれが悪いとは思わない。
それでいいのだ。いや、それがいいのだ。素晴らしい時代!ビューティフル・ワールド!
でも自分はそうじゃないから、そうじゃない自分に向けてつくる。
自分がいいと思うのに、何にもなってない作品が持っている共通点は分かった。
はっきりと見えてきた。
そして自分も、それを持っている。
それが宝だ。
誰にもこれは売り渡しちゃいけない。
何にもならなくってそのまま死んだっていいじゃん。
何かに、誰かに、合わせる必要いっさいなし。
嫌われなきゃ意味ない。
理解の範疇を超えなきゃ意味ない。
自分の思うままに。
それが自分の芸術に対するまっすぐな向き合い方。
自分の人生。

2016年11月15日火曜日

ノイズの海で溺れたい。

ディレクターの千里さんもロンドンから到着し、『ノイズの海』ついに稽古がはじまりました。写真などでは千里さんの印象はすごくクールな感じなんだけど、実際の千里さんはかなり情熱的でユニークな人なのです。昨日も稽古後に雨の中、言葉と手話を交えた会話をしながら駅まで歩いたのですが、楽しくてテンションが上がります。オーディションの時にもこの不思議な楽しさを感じて、一緒に舞台をつくってみたいと思いました。この魅力がなかなか伝えられないところが難しいのですが、そこにライゾマティックリサーチのみなさんのテクノロジーが融合して音のない世界を目で見、耳で聴く、不思議な世界が浮かび上がってきそうです。

日本の表現の世界はどんどん知ってるもの、分かりやすいもののみを面白いとする風潮に流れていっているように感じますが、こうした未知の領域に踏み込んでいく新しい表現の世界もぜひ楽しみに来て欲しいと切に願っています。触れたことのないものに触れるとき、初めはちょっと不安で驚き戸惑ったり拒絶しそうになったりするものですが、芸術ってもともとそのために存在していたはず。

音を聞いたことのない人がどんなことを感じているのか。
音のない世界ってどんなものなのか。
未知のものに触れることができるって、すごいことだと思いませんか?

まずは自分が稽古の中でどっぷりとその世界に浸って経験してきます。そして今度は本番の舞台でその世界をお客さんと一緒に経験できるようにしっかり届けますので、どうぞ楽しみにしていて下さい。

こちらはライゾマティックリサーチさんがテクニカルを手がけている舞台の映像です。
あうるすぽっとプロデュース『ノイズの海』
アーティスティック・ディレクター:南村千里
ロンドンを拠点に、アジア、アフリカ、欧米など20カ国40都市以上で活躍しているろう者ダンスアーティスト、南村千里。彼女が追求しているのは、身体表現とアート、テクノロジーを融合させ、視覚的に音を表現すること。きこえない世界で、音/音楽をどのように捉え、どう表現するのか。ライゾマティクスが手がける映像デバイスとともに、ライブ映像とダンスで、新たな次元をつくりあげる。
【会場】
あうるすぽっと
【日程】
12月15日(木) 19:00
12月16日(金) 19:00
12月17日(土) 14:00
12月18日(日) 14:00
【上演時間】
60~90分(予定)
【公式サイト】
http://www.owlspot.jp/performance/161215.html
【チケット】
全席指定 一般前売3,500円ほか

Angélica Liddell [una tragedia] 上映後のアフタートークに出演!

12月1日、スペインの演出家Angélica Liddellのドキュメンタリー映画[una tragedia]が千代田区のセルバンテス文化センターにて上映されます。アジアプレミアの貴重な上映となります。上映後のトークにフェスティバル/トーキョーのプログラム・ディレクターの横堀応彦さんと出演させていただきますので、ぜひご来場下さい。
アンジェリカ・リデル ドキュメンタリー映画上映
アンジェリカ 『ある悲劇』(2016)
監督:マヌエル・フェルナンデス=バルデス
F/T15『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』で大きな衝撃を与えたスペインの鬼才アンジェリカ・リデル。同作品が初演を迎えるまでの日々を追ったドキュメンタリー映画を特別上映。上映後には、今年7月にアヴィニョン演劇祭で初演されたアンジェリカ・リデル新作『わたし、この剣でどうしよう』に出演した菊沢将憲(俳優・映画監督)と横堀応彦(F/T プログラム・コーディネーター)によるトークセッションを開催します。
*本上映は、セルバンテス文化センター東京主催「映画・音楽フェスティバル ドゥエンデ」のプログラムの一部です。
【会場】セルバンテス文化センター東京 地下1階オーディトリアム
【日程】12/1(木) 19:00~
【上演時間】 86分
【言語】スペイン語上映、英語・日本語字幕
【入場料】 入場無料(要予約)
【共同主催】 フェスティバル/トーキョー、セルバンテス文化センター東京
“Angelica. A tragedy” (2016)
This documentary by Manuel Fernández-Valdés is about Angélica Liddell, the groundbreaking creator of “All the Sky Above the Earth (Wendyʼs Syndrome)” that was part of F/T15. The actor and film director Masanori Kikuzawa, who appeared in the world premiere of Liddell’s “And what will I do with this sword? Approach of the Law and of the Issue of Beauty” in July at Festival d’Avignon, joins Masahiko Yokobori (F/T Program Coordinator) for a post-screening talk.
Part of Instituto Cervantesʼ Festival de cine y música Duende
Venue Instituto Cervantes (B1F Auditorium)
Date 12/1 (Thu) 19:00
Running Time 86 min.
Language Spanish with English and Japanese subtitles
Tickets Free (reservation required)
Co-presented by Festival/Tokyo, Instituto Cervantes

2016年11月14日月曜日

養老天命反転地万歳!

岐阜にある養老天命反転地へ。荒川修作➕マドリン・ギンズによる壮大なアートプロジェクトです。二週間前にその存在を知って、「いつか行かなくては」と心に決めて、でも場所がよく分からないから難しいかなと思っていたところ、「おーい、大石」上映で名古屋に来ることになって、PFFの方から名古屋周辺のおすすめスポットとして教えていただいたのがこの『養老天命反転地』でした。片道1時間半かけて岐阜に来て、ここにいられる時間はたったの2時間!だけど充分でした。駅で場所を聞いたおじさんが、「電車で来たならタダ券あるよ」と入場料無料の券をくれました。荒川修作&マドリン・ギンズが呼んでいる。そして『養老天命反転地』。これすごすぎます。ずっと一人で「すごい、すごい」と感動し続けです。荒川さんは若い頃、三島由紀夫から挨拶がわりに手渡された本を「くだらない」と窓から投げ捨て三島由紀夫と大喧嘩して、二人を紹介した兄貴分の岡本太郎を困らせたり、一緒に住んでいたボブ・ディランに「お前はこれを聴いてもっと俺を尊敬しろ」と渡されたディランの大量のレコードを「音楽なんてくだらない」と投げ捨てたという剛の者。ガウディのグエル公園に匹敵するスケールですが、そうした人柄が醸し出している「簡単に楽しめると思うなよ」という気軽に人を寄せ付けない強いオーラがこの空間全体から漂っており、すでにテーマパーク化していたグエル公園よりも強く心に訴えかけてくるものがありました。もちろん、完璧なわけではなく、アラを探せばいくらでも出てくるとは思いますが、『やろうとしてることが壮大過ぎて、その速さ大きさに他のことが追いつけていけてない』状態までいっている人の作品を必死になって実現しようとしたその全員の気迫がみなぎっています。歩き回り、よじ登り、はいつくばり、よろめき、手探りで、全身で楽しんで、エネルギーを使って、使った分、新しい別のエネルギーをもらって帰る場所。『養老天命反転地』。今つくっている映画も、やろうとしているのはまさにこんなこと。完成出来ないんじゃないかって思うぐらい、でかいことを目指す。バラバラになりそうなすべてをグッと結びつけてひとつにする。それはもう気迫であり、胆力。たくさんの勇気と刺激をもらって名古屋へ向かい『おーい、大石』名古屋上映を終えたのでした。

2016年11月12日土曜日

年間250本。

『10000枚の絵を描けば、君も画家になれるよ』とピカソは画家を目指す日本人の若者に言った。単純に数で言い表すピカソのこういう表現は大好きだ。

ああだこうだ言う前にひとつでも多くのものをつくること。たまたまひとつだけつくった人が永遠に残る名作をつくるのと、10000作つくった人がひとつだけ永遠に残る名作をつくるのとでは同じひとつだけとしても、自分は後者の方が好き。大好き。

画家は10000枚。では映画は?10000本?そんなに映画を撮れた人がこの世にいるのだろうか。例えばあと40年生きるとして、10000本取るためには一年に250本の映画を撮る必要がある。年間250本なんて見るだけでも大変なのに、撮るとなると1.5日に一本のペースで撮り続けても間に合わない。果たして可能なのか?

しかし、『あと40年生きるとして』と簡単に書いたけれども、もし一年後にポーンと車に跳ねられて死んだとしたら、今時点で自分の寿命はあと一年ってことになる。もしそれを知っていたら、今、自分はどんな風に生きているだろうか。その生き方と、今の生き方に差があったりするのだろうか。
幸いにして、今その差はないように感じる。自分の力で何とかなることに関しては、最大限やっているから。でもきっとまだやれる。

10000本とはいかずとも、少なくとも1,000本は撮ってみたい。
それでも年間25本。どうだ?無理か?
だったら何本なら撮れる?
何本なら撮れるんだ?

2016年11月9日水曜日

『おーい、大石』名古屋上映!

【PFF in 名古屋】
映画監督作『おーい、大石』名古屋上陸です!
2016年11月13日(日) 13:30~ 
@愛知芸術文化センター アートスペースA
アフタートークに出演します。お客さんいっぱい入って欲しい!
名古屋にお知り合いがいたら、ぜひお知らせお願いします!
愛知には何度か行っていますが、名古屋は初。見逃したアワード作品と名古屋城を堪能、あとは面白いことやってる面白い人たちが集まってる面白い場所を見つけたいです。
『おーい、大石』を上映したいという人たちが声をかけてくれていて、年末から来年春にかけていくつかの場所で上映が決まりそうです。またそこでもたくさんの人に会えるかと思うとワクワクします。今、製作中の新作もとても可愛い映画なのできっとたくさんの人に愛されると思います。やりたいようにやるし、ジャンプするとこはどこまでも目一杯跳んでいくけど、やっぱりそれを見て笑ってくれたり喜んでくれたりするお客さんのことを考えるとうれしいから、そのことだけ考えてつくりたい。それを全国の人に見てもらいたい。アウルスポットプロデュースの公演『ノイズの海』の稽古もいよいよ始まります。今、手話を一生懸命練習中です。英会話に、スペイン語に、手話に、もう本当にごっちゃごちゃやけど、時間もぜんぜん足りてなくて机の周りにはいろんなものがどんどん積み上がっているけど、目の前のひとつひとつを。たぶん終わりがないから机はもう片付かないと思うけれども。

平和活動に飽きたキクザワは、橋の下に暮らす大石に再会。そこらの葉っぱを吸ったり劇をしてみたり、おっさん2人の突飛な行動に、喪失、自由、人生、友情が、ポップに炸裂!
PFF.JP

2016年11月5日土曜日

京都を歩いて考える。



京都の街を歩くと、いい建物が多いが故にその隣にある何も考えていないコンクリートの固まりを見てがっかりすることが多い。『その建物の隣にこんなの建てて何とも思わないの??』って不思議で仕様がない気分になります。東京ではほとんど全ての建物が『ただのコンクリートの固まり』なので気にならないのですが。東京はある意味、その統一感がある街なのですね。美しいものからぶち壊し醜いものをわざわざ建てる、世界にもなかなか例のない面白い街です。ルールのまったく存在しない世界一アナーキーな街。すごい。
しかし、確かに耐震構造とか使い勝手を考えると現代的にならざるをえない、素材も変わらざるをえない、というのは分かります。分かるけれども、せっかく日本の昔の建築家が持っていたこの美意識をここまで捨て去ってしまってどうするのだろう?そういうことを考えた建築家は日本にはいなかったのかなと思いながら歩いていたら、いい感じの寺町にどーんと存在感のある建築物が登場しました。その前に立っていた看板を何となく見ると、今まさに考えていたことの答えがあり、そういったことを考えていた建築家に出会うことが出来たのです。
その建築家の名は伊東忠太。その考えは『建築進化論』。
詳しくは写真の看板に書かれてある通りなのですが、『日本建築の木造伝統を進化させる』という彼の考えは、今の日本の建築にとって非常に重要だと考えます。
今の日本には『建築家』と呼べる人はほとんどいません。
一人くらい、京都の重要文化財の隣に雰囲気ぶち壊しの建物を造ろうと注文してきた雇い主に、隣にある建築物の重要性を教え、その隣にあるに相応しい建築物を啓蒙して建てさせるくらいの人はいないのだろうか。建物が美しくなれば、人の心にもいい影響を及ぼし、その建物自体も大きな財産になるというのに。
その点、中国の烏鎮という街の存在感は圧倒的でした。
ひとつの企業が美しい景観を残した村をまるごと買い取り、保存し、管理し、ひとつの桃源郷を完全に表現しているのです。東のヴェニスと呼ばれる美しい街を。こうした心あるお金持ちのちょっとした粋なはからいが、人々を喜ばせるユートピアをつくり出し、かつたくさんの人を集める大きなビジネスになっているのです。中国のお金持ちは圧倒的に豊かですよ。
お金の多い少ないが豊かさの尺度ではないのです。豊かな心がお金を扱うから、その豊かさをさらに多くの人に分かち合うことが出来るのです。そしてまた多くの人が豊かになっていくのです。日本には豊かな心を持ったお金持ちはもういません。悲しいことですが。けれども、今、お金を持っていなくても豊かさを持つことは出来ます。その豊かさを持てば、『貧しさ』はどこかに消えていきます。
京都の江戸時代から続いている美しい建築物の隣の土地に建物を建てる権利を手に入れたとき、あなただったらどんな建物を建てるでしょうか。
街の未来は本当に、私たち一人一人全員に責任があるのです。